年末調整の対象になるのはどんな人? 対象にならないのはどんな場合?
目次
勤め先から支払われる給与は、予測される所得税等の納付分を考慮して天引きがなされています。
しかし年末になると正しい所得税額が明らかになるため、過不足を精算する処理「年末調整」が必要となります。
ただ、これは収入を得ているすべての方が対象になっているわけではありません。年末調整の対象になる人・対象にならない人がいますので、従業員として働いている方もそうですが、年末調整を行わなければいけない会社・事業者の方は特にその区別がしっかりとできていないといけません。
年末調整が必要な人
年末調整を行う必要があるのは、次に掲げる事由に該当する方です。
- 年間を通じて従業員として働いている
- 年の途中に就職してから年末まで働いている
- 年の途中で退職して一定の事由に該当する
- 年の途中に海外へ転勤した
それぞれの詳細を以下で整理します。
年間を通じて従業員として働いている人
いわゆる「会社員」として継続的に働いている方の多くは年末調整の対象者です。
年間を通じて1つの会社に勤務し続けている従業員は広く年末調整を行わなければなりません。
これは正社員に限ったものではなく、アルバイトやパート、契約社員、派遣社員なども同じです。
ただし派遣社員に関しては、実際に働いている派遣先の会社ではなく派遣元の会社が処理を行います。
使用者である会社としては、年末調整を行うときまでに扶養控除等(異動)申告書を従業員に渡し、必要事項を記入のうえ提出をしてもらうよう求める必要があります。
年の途中に就職してから年末まで働いている人
新たに就職をした方、転職をした方も、就職をしてから同年末まで働き続けたのであれば年末調整の対象です。
なお、新卒であれば年の途中で就職をするケースが多いと思われますし、転職の場合も年の途中で職場が変わることが多いでしょう。
この場合、前職(新卒の場合は就職前のアルバイトなど)で得た収入も考慮して所得税を計算する必要があるため、前の職場から源泉徴収票を取得しておかないといけません。
一定要件を満たす退職者
年の途中で退職した人であって、次に掲げるいずれに該当する人は年末調整が必要です。
- 死亡が原因で退職した
- 著しい心身の障害が原因で退職した+退職時期からみて本年中の再就職ができないと見込まれる
- 12月に支払われる給与の受けた後に退職した
- アルバイト等であった+本年中に給与総額が103万円以下
※本年中に他の勤務先から給与を受ける見込みがある場合は除く
なお、年末調整は「その年最後の給与を支払うとき」に行うため通常は12月に行われるのですが、上の事由に該当する退職者に関しては「退職をするとき」に実施します。
年の途中に海外へ転勤した人
年の途中で海外の支店等に転勤し、「非居住者」になった人も年末調整の対象者です。
※非居住者:国内に住所がない、または国内の居所が1年未満の者のこと。
必要性については日本に住所(または居所)があるかどうかでも判断がわかれます。
海外赴任している方に関しては居住者ではなくなるため年末調整を行う必要もないのですが、転勤した初年は必要です。
なお、退職したとき同様に、12月ではなく「非居住者になったとき」が年末調整を行うタイミングとなります。
なぜ年末調整を行うのか
給与所得者は自ら確定申告や所得税の納付を行う必要がありません。毎月の給与から源泉徴収税として所得税(および復興特別所得税)が引かれているためです。ただ、先に徴収する税額は予測に基づく額ですので、残業手当などその他さまざまな理由で給与の支払い額が変動する月もあり、正しい税額と一致しないことが多いです。
そこで正しい税額を納めるため、不一致を精算する処理が必要です。1年間の給与総額が確定した後で過不足を判定し、多く払いすぎていた従業員に対しては還付を、不足額がある従業員に対しては追加で徴収を行うのです。この処理が年末調整です。
納税の義務を適切に果たすため、あるいは納税者である従業員の過剰な負担を回避するために欠かすことができません。
年末調整を行う必要がない人
年末調整を行うのは会社などに勤めている従業員の方ですが、例外的にその対象から外れる方もいます。
この対象から外れた方に関しては、自分自身で確定申告を行い、税額の精算をしなくてはなりません。
年末調整の対象から外れる従業員がいるとき、会社もその方に確定申告を行うよう指導しましょう。
年末調整の対象外の人 | |
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従業員として働いていない方 | 会社に勤めず個人事業主やフリーランスとして働いている人 ※会社役員については役員報酬が従業員の給与と同様に扱われるため年末調整の対象。 |
収入が2,000万円超の人 | 上記の“年末調整が必要な人”に該当しても、本年中の主たる給与の額が2,000万円を超えていると対象から外れ、自ら確定申告を行う必要がある。 |
災害被害を理由に徴収猶予・還付を受けた人 | 上記の“年末調整が必要な人”に該当しても、災害で被害を受けて「災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律」の規定に基づき、源泉所得税等の猶予や還付を受けた人は対象外。 |
副業をしている人 | 2ヶ所以上の勤め先があって、扶養控除等(異動)申告書を他方の勤め先に提出している、あるいは年末までにこれを提出していない、という人は対象外。 |
年の途中で退職した人 | 年の途中に退職をした人であって、以下4つのいずれにも該当しない人は対象外。 ・死亡が原因で退職した ・著しい心身の障害が原因で退職した+退職時期からみて本年中の再就職ができないと見込まれる ・12月に支払われる給与の受けた後に退職した ・アルバイト等であった+本年中に給与総額が103万円以下 |
日本に住んでいない人 | 日本に住所や居所がない人は対象外。 ただし海外赴任の期間が1年未満であれば年末調整の対象。また、年の途中に海外赴任を終えて帰国してきた場合は、帰国日から年末までが年末調整の対象。 |
日雇いで働く人 | 単発バイトや日雇いバイトなどは年末調整の対象外。 ※源泉徴収が不要になるわけではない。 |
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資格者紹介
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父親が会社経営をしていて、子どもの頃から将来は自分で起業し、自分の思うような人生を自分で切り拓いて生きていきたい、と考えていました。
父親の背中をずっと見てきましたので、経営者の思いや悩み、苦労などにも傍で触れることができました。
そして大学時代に出会った税理士という資格は、中小企業の最も身近なパートナーであることに非常に魅力を感じ、税理士を目指そうと決意しました。
大学卒業後、仕事をしながらの受験生活は長丁場となりましたが、無事に税理士試験に合格。
実際に自分が税理士として仕事をしていて感じることは、税理士の仕事はとてもやり甲斐があり、責任も重大であるということです。
ただし、税理士の使命は「正しい経理処理や税金計算をして、間違いのない申告書を作る」だけではありません。
専門家としての事務的なサービスにとどまらず、経営者が誰にも言えないような悩みを抱えた時に、真っ先に弊所のことを思い出して頂き、気兼ねなくご相談できるように心掛けています。
そして、経営者の思いに本気で応え、共に問題解決をしていきます。
そのため、経営者とのコミュニケーションを積み重ねにより、本物の信頼関係を構築することは重要です。
さらに「スピード対応」を常に心掛け、経営者が事業に専念できるよう、万全のサポートをさせて頂きます。
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- 所属団体
- 東京税理士会
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- 著書
- あさ出版「中小企業の資金調達方法がわかる本」(共著)
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- 経歴
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大学を卒業後、3年間の受験専念期間を経て、一般企業に営業職として入社。
その後、会計事務所に入所し、キャリアを積む。
2011年、税理士試験合格。翌2012年、税理士登録。
「より主体的に、責任を持って業務に取り組んでいきたい」と考え、2013年独立。
森下税理士事務所を開設する。
事務所概要
Office Overview