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法人税申告の具体的な流れとは? 決算の確定から納税をするまでの手順について

 

法人税の申告は企業に課された重要な責任であり、毎年確実に申告と納税の義務を果たさなければなりません。そこで本記事では企業の方が最低限知っておきたい「法人税申告までの流れ」を解説します。義務を果たす上でどのような作業が必要となるのか、どのような流れで進めていくことになるのか、理解しておきましょう。

 

法人税の概要

法人税は、「法人の事業活動から生じる所得を対象に課税する税金」のことです。

 

税金には国に納める国税と都道府県や市町村に納める地方税があり、法人税はこのうちの国税に該当する税金です。

※法人に課される地方税には、法人住民税や法人事業税があり、これらに法人税を加えた3つをまとめて「法人税等」と呼ぶことが多い。

 

法人の代表例に株式会社がありますが、他にもさまざまな形態があり社会全体で経済を回しています。このうち株式会社や合同会社などの普通法人のほか、NPO法人や協同組合、一般社団法人などにも法人税は課されます。

 

ただし、あらゆる法人のあらゆる所得に法人税がかかるわけではありません。普通法人に関してはすべての所得が対象とされていますが、NPO法人等の公益法人などは「収益事業」に該当する一部の所得に限り課税されますし、地方公共団体のような公共法人については納税義務がありません。

 

法人税申告の具体的な流れ

それでは法人税申告までの具体的な流れを見てみましょう。

 

  1. 決算の確定
  2. 課税所得の計算
  3. 法人税額の計算
  4. 法人税申告書の作成
  5. 申告書の提出と納税

 

以下で、各ステップの内容を説明していきます。

 

決算の確定

法人税申告の前提として、決算が必要です。法令に従い決算を確定させ、所得の内容を明らかにしておかないといけません。

 

また、決算を行う前提として、日々の記帳がきちんと行われていることが必要ですし、資産や負債などの財産状況の把握も必要です。その上で決算整理仕訳、決算書の作成を行い、株主総会等での承認を経て、内容が確定します。

 

課税所得の計算

法人税は、売上ではなく、企業の「所得」を対象に課税される税金です。決算書に示された利益をベースとし、税務上の調整を加えた上で正確な所得金額を算出しないといけません。所得は利益とイコールの関係にならないことがあるため注意が必要です。

 

そして導き出された所得金額に対して税率を乗じ、納付すべき法人税の金額が明らかになります。

 

なお、ここでいう税務上の調整とは、収益や費用として認められない金額を反映させることを指します。こうして、会計上の利益が課税所得になるように調整します。例えば次のような事項を考慮する必要があります。

 

  • 資産評価益や還付金などの益金不算入
  • 交際費や寄付金などの損金不算入

 

法人税額の計算

法人税額は、次の計算式により求めることができます。

 

法人税額 = 課税所得金額×税率

 

法人税の税率は法改正により変動してきたという背景がありますが、2023年執筆時点においては、原則「23.2%」が適用されます。

 

ただし、資本金1億円以下の普通法人の場合、所得800万円以下の部分に対しては「19%」、さらに特例で「15%」が適用されることもあります。

 

課税所得が600万円で、15%の税率が適用される場合は、法人税額は次のように求められます。

法人税額 = 600万円×15%
     = 90万円

 

法人税申告書の作成

法人税額の計算に伴い、法人税申告書の作成を進めます。

 

法人税の申告にあたっては、多数の別表も作成することになります。法人税額の計算を行う「別表1」、法人所得の計算を行う「別表4」、その他必要に応じてさまざまな書類を作成しないといけません。
その中でも提出が必須とされるのは、「別表1」「別表2」「別表4」「別表5(1)」「別表5(2)」です。

 

別表は119まであり、付表も合わせると100種以上あります。ただし、すべての会社がすべての書類を作成する必要はなく、必要なものだけを作成すれば良いです。

 

申告書の提出と納税

申告書など、提出すべき書類の準備ができれば、期限内にこれを提出し、納税も行いましょう。

 

所得税だと毎年216日~315日に確定申告を行うのが通常ですが、法人税の場合は「事業年度終了日翌日から2月以内」と定められており、各社異なる時期に手続を行います。

 

もし、331日を決算日として設定しているなら、その2月後の531日が法人税申告書の申告期限です。同日までに法人税の納付も行いましょう。なお、ちょうど2月後が土曜部・日曜日・祝日である場合、その翌日が期限になります。

 

万が一、期限内の申告・納付ができないという場合は、猶予を求めて税務署に問い合わせてみましょう。常に猶予が認められるわけではありませんが、所定の要件を満たせば一定期間猶予してもらうことができます。
何ら対処せず期限を過ぎてしまうと、遅れた分の延滞税が課されてしまう上、場合によっては無申告加算税や重加算税などのペナルティを課されることもありますので要注意です。

 

法人税の納付は、直接窓口に行って行うこともできますし、e-Taxを使って納付することもできます。この電子納税によれば、自宅や事務所からオンラインで手続を済ませることが可能です。

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資格者紹介

Staff

森下敦史税理士
税理士 森下 敦史 もりした あつし

父親が会社経営をしていて、子どもの頃から将来は自分で起業し、自分の思うような人生を自分で切り拓いて生きていきたい、と考えていました。

父親の背中をずっと見てきましたので、経営者の思いや悩み、苦労などにも傍で触れることができました。

そして大学時代に出会った税理士という資格は、中小企業の最も身近なパートナーであることに非常に魅力を感じ、税理士を目指そうと決意しました。
大学卒業後、仕事をしながらの受験生活は長丁場となりましたが、無事に税理士試験に合格。

実際に自分が税理士として仕事をしていて感じることは、税理士の仕事はとてもやり甲斐があり、責任も重大であるということです。

ただし、税理士の使命は「正しい経理処理や税金計算をして、間違いのない申告書を作る」だけではありません。

専門家としての事務的なサービスにとどまらず、経営者が誰にも言えないような悩みを抱えた時に、真っ先に弊所のことを思い出して頂き、気兼ねなくご相談できるように心掛けています。
そして、経営者の思いに本気で応え、共に問題解決をしていきます。

そのため、経営者とのコミュニケーションを積み重ねにより、本物の信頼関係を構築することは重要です。
さらに「スピード対応」を常に心掛け、経営者が事業に専念できるよう、万全のサポートをさせて頂きます。

  • 所属団体
    東京税理士会
  • 著書
    あさ出版「中小企業の資金調達方法がわかる本」(共著)
  • 経歴

    大学を卒業後、3年間の受験専念期間を経て、一般企業に営業職として入社。

    その後、会計事務所に入所し、キャリアを積む。

    2011年、税理士試験合格。翌2012年、税理士登録。

    「より主体的に、責任を持って業務に取り組んでいきたい」と考え、2013年独立。

    森下税理士事務所を開設する。

事務所概要

Office Overview

事務所名 森下敦史税理士事務所
代表者 森下敦史(もりした あつし) [ 税理士番号:121051 ]
所在地 〒104-0045 東京都中央区築地7-2-1 THE TERRACE TSUKIJI 5階EAST
TEL/FAX TEL:03-6226-9566 / FAX:03-6226-9567
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