法定相続に基づく割合の基本と注意点をわかりやすく解説
目次
遺産相続において重要なのは、法定相続人の確認と相続割合を正確に計算することです。
本記事では、民法で定められた法定相続人の範囲や、配偶者・子ども・親などの関係性による相続割合について、わかりやすく解説します。
法定相続人の基礎知識
相続割合を決定するには、まず相続人を正確に把握する必要があります。
民法では受取人の条件を細かく定めており、権利を持つ人物を確定するのが、円滑な相続手続きの第一歩です。
法定相続人について
法定相続人については、民法で明確に定められています。
権利を持つ中心的な存在は配偶者と血族であり、特に配偶者については、法的な婚姻関係が結ばれていれば必ず相続権が発生します。
なお、事実婚関係やパートナーシップ制度による関係では、相続の権利は認められません。
相続権を持つ親族には明確な優先順位が設定されています。
第1順位は子どもが、第2順位は父母が、第3順位は兄弟姉妹と位置づけられています。
たとえば、子どもがいる場合は、相続する権利を持つのは配偶者と子どもだけです。
子どもがいない場合は配偶者と父母が、父母もいない場合は配偶者と兄弟姉妹が相続人となります。
この順位は法律で定められており、上位の権利者がいる場合、下位のひとは相続権を持つことができません。
なお、親族がいない単身者の遺産については、定められた手順に従って国の所有となります。
遺産を法定相続人以外に残したい場合は遺言書が必要
相続権のないひとに遺産を残すためには、遺言書の作成が不可欠です。
遺言書を用意することで、孫や子ども配偶者、社会貢献団体など、幅広い方々への遺産相続が可能になります。
ただし、遺言書がない場合は法定相続人以外への遺産相続は認められません。
法定相続分の割合について詳しく解説
民法第900条では、法定相続人の組み合わせに応じた相続分を明確に規定しています。
法定相続分は相続人の関係性と人数によって厳密に定められています。
相続人の構成 | 法定相続分の内訳 |
---|---|
配偶者単独 | 全額(100%) |
子どものみ | 子どもの人数で均等分割 |
配偶者と子ども | 配偶者:1/2 |
配偶者と親 | 配偶者:2/3 |
配偶者と兄弟姉妹 | 配偶者:3/4 |
親のみ | 両親の場合:1/2ずつ |
兄弟姉妹のみ | 人数で均等分割(兄弟と異父母兄弟で割合が異なる) |
それぞれについて、具体的に見ていきましょう。
子、父母、兄弟姉妹がそれぞれ相続する場合
子どもや父母、兄弟姉妹のみで相続が行われる場合、遺産は人数で均等に分けられます。
お子様が2名なら各1/2、兄弟姉妹が4名なら各1/4ずつの割合です。
父母の場合は、2人とも健在なら1/2ずつ、1人なら全額を受け取ります。
配偶者と子が相続する場合
配偶者と子どもでの遺産相続では、配偶者が必ず1/2を受け取り、残りの1/2を子どもの人数で均等に分けることになります。
子どもが2名の場合の相続割合は、配偶者が1/2、お子様はそれぞれ1/4です。
配偶者と父母または兄弟姉妹が相続する場合
配偶者には遺産分配で優先的な権利が認められています。
配偶者と父母が相続する場合の割合は、配偶者が2/3、ご両親が1/3です。
配偶者と兄弟姉妹の場合は、配偶者が3/4、残りの1/4を兄弟姉妹で分け合います。
兄弟姉妹が4名なら、一人あたり1/16です。
養子縁組をしている場合の法定相続分について
養子として家族になった方の相続割合は、実の親子と同じ割合が適用されますが、養子縁組の形態により、相続できる対象が変わります。
一般的な養子縁組では実親と養親の両方から相続を受けられますが、特別養子縁組では養親からしか相続を受けられません。
認知された子がいる場合の法定相続分について
法的に認知を受けた婚外子は、第1順位の相続権利者として扱われます。
婚姻関係の有無にかかわらず、すべての子どもに平等な相続権が与えられます。
たとえば、実子1名と認知された婚外子1名の場合の相続割合は、遺産は1/2ずつです。
代襲相続における法定相続分
本来の相続人が先に亡くなっている場合、そのひとの子どもや孫が権利を引き継ぐ仕組みが代襲相続制度です。
相続分は、亡くなった相続人の取り分を子どもたちで等しく分けることになります。
たとえば、被相続人に子どもA、Bがおり、Bが相続する前に亡くなったケースを考えてみましょう。
Bに子C、Dがいる場合、被相続人の遺産を代襲相続することになります。
この場合の、具体的な法定相続分は以下のとおりです。
相続人の状況 | 相続分 | 計算方法 |
---|---|---|
被相続人の子A | 1/2 | 本来の取り分 |
死亡した被相続人の子Bの子C | 1/4 | Bの取り分(1/2)÷2人 |
死亡した被相続人の子Bの子D | 1/4 | Bの取り分(1/2)÷2人 |
このように、本来Bが受け取るはずだった1/2の相続分は、Bの子であるCとDで等分されます。
まとめ
相続割合を正確に計算するには、相続人を確実に把握する必要があります。
相続の基本原則は、配偶者と血のつながった親族に対して、民法の規定通りの比率で財産を分配することです。
養子縁組による相続や認知を受けた方の相続、さらには代襲相続など、通常とは異なるケースについても、法律で明確な配分方法が示されています。
相続の内容が複雑な場合は、税理士などの専門家に相談することで、適切な判断や正確な計算が可能になります。
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父親が会社経営をしていて、子どもの頃から将来は自分で起業し、自分の思うような人生を自分で切り拓いて生きていきたい、と考えていました。
父親の背中をずっと見てきましたので、経営者の思いや悩み、苦労などにも傍で触れることができました。
そして大学時代に出会った税理士という資格は、中小企業の最も身近なパートナーであることに非常に魅力を感じ、税理士を目指そうと決意しました。
大学卒業後、仕事をしながらの受験生活は長丁場となりましたが、無事に税理士試験に合格。
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ただし、税理士の使命は「正しい経理処理や税金計算をして、間違いのない申告書を作る」だけではありません。
専門家としての事務的なサービスにとどまらず、経営者が誰にも言えないような悩みを抱えた時に、真っ先に弊所のことを思い出して頂き、気兼ねなくご相談できるように心掛けています。
そして、経営者の思いに本気で応え、共に問題解決をしていきます。
そのため、経営者とのコミュニケーションを積み重ねにより、本物の信頼関係を構築することは重要です。
さらに「スピード対応」を常に心掛け、経営者が事業に専念できるよう、万全のサポートをさせて頂きます。
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- 所属団体
- 東京税理士会
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- 著書
- あさ出版「中小企業の資金調達方法がわかる本」(共著)
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- 経歴
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大学を卒業後、3年間の受験専念期間を経て、一般企業に営業職として入社。
その後、会計事務所に入所し、キャリアを積む。
2011年、税理士試験合格。翌2012年、税理士登録。
「より主体的に、責任を持って業務に取り組んでいきたい」と考え、2013年独立。
森下税理士事務所を開設する。
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