相続時精算課税制度とは?2023年度の改正内容や注意点など
2023年の税制改正により、相続税を取り巻く環境がまた変化しています。
その中の一つが相続時精算課税制度です。
相続時精算課税制度とは、2023年の税制改正で新たに導入される特例制度の一つであり、生前贈与を行った際に一定額までは贈与税を控除し、相続時にその贈与分もまとめて相続税で課税する制度のことです。
一見、課税されるタイミングが変わるだけの制度に思えますが、制度を上手に活用することで効果的に相続税の税負担を減らすことも可能となっています。
本記事では相続時精算課税制度の概要やこれまでからの改正点、注意点についても解説します。
相続時精算課税制度とは?-制度の概要
相続時精算課税制度は、生前贈与のうち累積上限額を2500万円として贈与税の課税が免除されます。
そして、相続を行う際に生前贈与された合計金額を相続財産の評価額に加えて相続税を課すという方式の新たな相続税制です。
この制度は一見、課税時期である相続時に先行して負担なしで財産を贈与できるという制度に見えますが、メリットはそれだけではありません。
相続時精算課税制度の最大のメリットは相続税での課税が行われる際に、生前贈与を行った際の評価額で課税が行われるという特徴があります。
例えば、金銭的価値の変動が大きな不動産をあらかじめ資産価値の低いうちに生前贈与しておけば、課税される相続時に資産価値が上昇していても低い評価額のままで課税されるというメリットが存在します。
もちろん、反対に資産価値が低下した場合は資産価値の高いままの評価額で課税されるというデメリットも存在しますので、注意が必要です。
相続時精算課税制度で何が変わる?-改正点や注意点
前述のように相続時精算課税制度は効果的に活用していくことで、相続時の税負担を減らすことが可能になりますが、それだけでなく、これまでの税制にも一部影響を及ぼしているので注意が必要です。
例えば、改正前までは暦年贈与によって110万円ずつコツコツと贈与していくのが定番の相続税対策でしたが、今回の改正によって自身の財産の価値や種類に応じて相続時精算課税制度を利用するべきか否かなどさまざまな判断要素が増えました。
そのため、全員が一様に相続時精算課税制度を使えば良いわけではなく、自身に最適な制度を選択して使っていくことが重要です。
また、相続時精算課税制度の注意点としては制度利用に申請が必要です。
具体的には、最初に贈与を受けた年の贈与税の申告時に申告書と同時に相続時精算課税制度の選択届を提出する必要があります。
提出を怠ると、制度利用ができないだけではなく、申告漏れや延滞につながり、不必要な支出に繋がるため、注意しましょう。
相続に関するお悩みは森下敦史税理士事務所にご相談ください
森下敦史税理士事務所では、相続に詳しい税理士が在籍しております。
相続時精算課税制度を利用すべきか相談したい、相続税の申告期限が差し迫っているが今からでも間に合うか、制度を利用するか否かで相続税がどれくらいの負担になりそうか見積もりを取りたいなど相続について気になることや疑問点がある方はお気軽に一度ご相談ください。
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資格者紹介
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父親が会社経営をしていて、子どもの頃から将来は自分で起業し、自分の思うような人生を自分で切り拓いて生きていきたい、と考えていました。
父親の背中をずっと見てきましたので、経営者の思いや悩み、苦労などにも傍で触れることができました。
そして大学時代に出会った税理士という資格は、中小企業の最も身近なパートナーであることに非常に魅力を感じ、税理士を目指そうと決意しました。
大学卒業後、仕事をしながらの受験生活は長丁場となりましたが、無事に税理士試験に合格。
実際に自分が税理士として仕事をしていて感じることは、税理士の仕事はとてもやり甲斐があり、責任も重大であるということです。
ただし、税理士の使命は「正しい経理処理や税金計算をして、間違いのない申告書を作る」だけではありません。
専門家としての事務的なサービスにとどまらず、経営者が誰にも言えないような悩みを抱えた時に、真っ先に弊所のことを思い出して頂き、気兼ねなくご相談できるように心掛けています。
そして、経営者の思いに本気で応え、共に問題解決をしていきます。
そのため、経営者とのコミュニケーションを積み重ねにより、本物の信頼関係を構築することは重要です。
さらに「スピード対応」を常に心掛け、経営者が事業に専念できるよう、万全のサポートをさせて頂きます。
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- 所属団体
- 東京税理士会
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- 著書
- あさ出版「中小企業の資金調達方法がわかる本」(共著)
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- 経歴
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大学を卒業後、3年間の受験専念期間を経て、一般企業に営業職として入社。
その後、会計事務所に入所し、キャリアを積む。
2011年、税理士試験合格。翌2012年、税理士登録。
「より主体的に、責任を持って業務に取り組んでいきたい」と考え、2013年独立。
森下税理士事務所を開設する。
事務所概要
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