税務書類にはどんな種類がある? 各種概要と基本的な作成の流れについて
当記事では「税務書類とは何か」「税務書類にはどんな種類があるのか」について紹介し、税務書類作成に関する業務の基本に言及しています。これから税務に関わる方、税務書類について知りたい企業の方はご一読ください。
税務書類とは
税務書類は税務官公署に提出される重要な書類であり、申告書や申請書、不服申立書など租税法令に基づいて作成が求められる文書です。
これらの書類には、個人や法人の課税対象となる所得や資産に関する情報が含まれており、収入・支出・資産・債務等について詳細な情報を記載した帳簿、明細書も該当します。
いずれも税務に関する事項を正確に記録し、正しい税務申告を行うための根拠となるものです。そのため各種書類を作成するときは情報の正確性に注意しなければなりません。
また、証憑としての役割を果たすには、きちんと保管されていないといけません。法令上も、書類の種類別に保管期間などが設けられているものがあり、事業者はその通りに保管をし続ける義務を果たす必要があります。
税務書類の種類
税務書類は1つではありません。様々な種類があり、作成が義務とされているもの、必要に応じて作成が必要になるものなど様々です。
例えば決算書類として次の税務書類を挙げることができます。
※決算書類:各事業者の事業年度ごとに、経営状態・財務状況をまとめた書類のこと。「財務諸表」と呼ばれることもある。
- 損益計算書
- 貸借対照表
- 株主資本等変動計算書
- キャッシュフロー計算書 など
また、申告書類として次の税務書類を挙げることもできます。
※申告書類:税金の計算内容を税務署に申告するための書類。納付が必要な税の種類別に申告書も作成が必要。
- 所得税申告書
- 法人税申告書
- 消費税申告書
- 法定調書 など
上記の税務書類を作成するために必要な帳簿類もあります。
- 仕訳帳
- 総勘定元帳
- 預金出納帳
- 現金出納帳
- 固定資産台帳
- 売掛帳
- 買掛帳 など
これら帳簿には日々の取引内容が記録されており、申告書や決算書を作成する基礎となる存在です。
税務書類作成の流れ
税務書類の作成、とりわけ決算書類や申告書類の作成については、日々記録してきた税務書類の積み重ねによって作業が可能となっています。
膨大な量の取引履歴が記録されることとなりますので、決算の時期になっていきなりすべての税務書類を作成することは現実的ではありません。また、記録がされていないと事業の状況を把握することもできません。
そこで通常は、月次で書類作成や記録を進めておくのです。以下で簡単に、月次業務と年次業務の流れ、作成する税務書類について紹介します。
月次業務
月次業務では、月間の取引を集計して、月次決算を行います。これを毎月繰り返すことによって経営状況の変化にも気づくことができます。
また、その前提として日々の取引を伝票に入力していくこと、その帳簿を集計していくことも欠かせません。
そこで月次業務として次のような作業が必要になります。
- 伝票等の整理
日々の取引を記録した伝票、領収書などの書類を、日付や取引内容ごとに整理する。 - 試算表の作成
月間の取引を集計し、損益計算書と貸借対照表を作成する。損益計算書では1ヶ月の売上高や費用などを計算し、利益を把握する。貸借対照表では1ヶ月の資産や負債、純資産などを把握する。 - 総勘定元帳の作成
伝票に入力された内容を勘定科目ごとに整理していく。1ヶ月の取引内容を総合的に把握するために作成する。 - 給与計算
従業員の給与を計算して、給与明細や源泉徴収票を作成していく。
年次業務
年間の経営活動と財政状況を総括するために年次業務を行います。また、期末の翌日から2ヶ月以内には申告等も必要ですし、税務署以外にも企業によっては各所に提出・公表すべき書類が発生します。
税務にあたる担当者にとってはもっとも重要な業務といえるでしょう。具体的にはそこで年次業務として次のような作業が必要になります。
- 勘定の整理
現金や預金残高の照合、売上げの計上、棚卸し、減価償却、試算表の作成、売掛金等の確認など。 - 決算書の作成
「賃借対照表」で資産と負債をチェック、「損益計算書」で費用と収益のチェック、「キャッシュフロー計算書」で現金の流れをチェックする。その他、株主資本等変動計算書や個別注記表、事業報告書などを作成していく。 - 申告書の計算
法人税や消費税、法人住民税、法人事業税などを計算し、申告のために必要な書類を準備する。「法人税申告書」「消費税申告書」「勘定科目内訳書」など。
税務書類の作成は税理士に
月次業務や年次業務では様々な税務書類を作成することになります。これらの書類は、事業者の経営状況を把握したり、税務申告を行ったりするために不可欠な存在です。
ただ、その業務に対応するには専門の経理担当などを置く必要があります。事業規模や業種によってはすべてを自社で対応するのが難しいこともあるでしょう。そういった場面では税理士に業務を依頼することおすすめします。
無理に社内で税務を完結させる必要はなく、業務効率や正確性の向上、人件費の削減のためにもプロを利用することも考えてみましょう。税務書類の作成代行のみならず、節税対策など申告に係る様々なサポートも期待できます。
当事務所が提供する基礎知識
Basic Knowledge
-
税理士事務所で働くの...
税理士事務所は、クライアントである企業や個人の会計処理、税務申告をサポートする役割を担います。全国 […]
-
相続財産に借金がある...
相続により取得することになる財産はプラスのものばかりではありません。「消極財産」とも呼ばれる、マイナスの価値を […]
-
会社設立・事業立ち上...
税理士の主な仕事内容は税務の相談対応、税務申告の代行ですが、会社設立や新事業の立ち上げに関して支援 […]
-
会社設立・起業支援の...
会社設立をするためには、「登記」という手続きが必要です。しかし、登記の前にも「登記前の準備」「登記」「登記後の […]
-
税務調査対応
当事務所では、税務調査対応を行っております。税務調査とは、税理士が納税者の公平な納税を推進していくために、定期 […]
-
個人事業主も活用でき...
「非効率な業務があるので、ITツールを活用して効率化したい」、「インボイス制度に対応するためにシステム改修した […]
よく検索されるキーワード
Search Keyword
資格者紹介
Staff
父親が会社経営をしていて、子どもの頃から将来は自分で起業し、自分の思うような人生を自分で切り拓いて生きていきたい、と考えていました。
父親の背中をずっと見てきましたので、経営者の思いや悩み、苦労などにも傍で触れることができました。
そして大学時代に出会った税理士という資格は、中小企業の最も身近なパートナーであることに非常に魅力を感じ、税理士を目指そうと決意しました。
大学卒業後、仕事をしながらの受験生活は長丁場となりましたが、無事に税理士試験に合格。
実際に自分が税理士として仕事をしていて感じることは、税理士の仕事はとてもやり甲斐があり、責任も重大であるということです。
ただし、税理士の使命は「正しい経理処理や税金計算をして、間違いのない申告書を作る」だけではありません。
専門家としての事務的なサービスにとどまらず、経営者が誰にも言えないような悩みを抱えた時に、真っ先に弊所のことを思い出して頂き、気兼ねなくご相談できるように心掛けています。
そして、経営者の思いに本気で応え、共に問題解決をしていきます。
そのため、経営者とのコミュニケーションを積み重ねにより、本物の信頼関係を構築することは重要です。
さらに「スピード対応」を常に心掛け、経営者が事業に専念できるよう、万全のサポートをさせて頂きます。
-
- 所属団体
- 東京税理士会
-
- 著書
- あさ出版「中小企業の資金調達方法がわかる本」(共著)
-
- 経歴
-
大学を卒業後、3年間の受験専念期間を経て、一般企業に営業職として入社。
その後、会計事務所に入所し、キャリアを積む。
2011年、税理士試験合格。翌2012年、税理士登録。
「より主体的に、責任を持って業務に取り組んでいきたい」と考え、2013年独立。
森下税理士事務所を開設する。
事務所概要
Office Overview