会社設立時の資本金を決める方法とは?判断材料となる3つのポイントを解説
会社を設立するにあたっては資本金の準備が必要です。そしてその金額に関しては、特定の事業を行う場合を除いて自由に設定することができるのですが、「いくら準備したほうがいい?」という問いに対して一概に答えることはできません。
その会社ごとに適切な金額設定をする必要があるからです。以下では金額の判断に際して考慮すべきポイントを紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。
資本金の下限の定めはない
まず資本金とは、自己資金を含む、出資者の払込金がこれに該当します。そしていくらの払込を行うのか、いくらの資本金とするのかは各社自由で、高額に設定しても良いですし低額に設定してもかまいません。
かつては資本金の下限が法定されていたのですが、その規定はなくなり「○○万円以上」という基準を考慮する必要がなくなりました。そのため資本金は1円であっても適法に会社を設立することは可能なのです。
資本金を決める3つのポイント
上の通り、資本金は1円でもかまいません。ただ、法的に問題がなかったとしても事実上の諸問題が生じ得ますので、その金額設定は慎重にしなくてはなりません。また、後述するように一部資本金の設定が事業に法的な影響を及ぼすこともあります。
資本金の設定に悩んでいる方は、以下のポイントを検討していき、具体的な金額を決めていきましょう。
許認可等を受けるための条件
事業の内容が許認可を要する場合、まずはその条件をチェックしなければいけません。なぜなら許認可の要件として資本金の大きさが含まれていることがあるからです。一定以上の金額でなければ当該事業を遂行できなくなってしまいます。
例えば、一般建設業許可のためには財産的基礎要件に資本金500万円以上が設けられています。会社設立が1円からできるといっても、本当に1円で設立してしまうとこの事業に関しては何もできなくなってしまいます。
他にも、有料職業紹介事業であれば500万円、一般労働者派遣事業であれば2,000万円の準備が必要です。なお、ここで注意したいのは、必ずしも「資本金」が要件になるとは限らないということです。一般労働者派遣業の許可に関して言うと、「基準資産額」が2,000万円以上必要なのです。基準資産額は、資産から負債を差し引いた金額であり資本金に近い金額にはなるものの、許認可を得ようとするのであれば厳密に計算しておく必要があるでしょう。
各種税制との兼ね合い(節税)
資本金額が小さい場合、上のような許認可が受けられないという問題が出てきます。
しかしながら、用意できるお金すべてを投入し、できるだけ大きくすればするほど良いということでもありません。そもそも資本金はその後自由に使えるお金ではありませんし、債権者保護に向けた担保のように機能するお金です。また、不必要に大きくし過ぎると課税という観点から問題が生じることもあります。
例えば、会社設立の費用として「登録免許税」があるのですが、これは資本金額に応じて変動します。「資本金額に0.7%を掛けた金額」、またはその計算が15万円以下の場合には一律「15万円」となり、2,150万円ほどまでは一定となるのですが、それ以上になってくると負担が大きくなってきます。
また、「法人税」に関しては資本金額1億円以下か1億円超かが分かれ目になってきます。1億円以下であれば中小法人として特例が受けられ、一定の利益分につき、通常より低い税率が適用され、企業の負担が少し軽減されるのです。
さらに、会社設立間もない企業で特に重要になるのが「消費税」に関する特例です。
ある基準期間において課税売上高が1,000万円以下であれば消費税の納税義務が免除されるという制度があるのですが、事業年度開始の日において、資本金額が1,000万円以上だと同制度の適用を受けられません。逆に資本金額を1,000万円未満に設定することで、一定期間消費税の免税をしてもらえるのです。開業から間がなく、資金調達も難しい成長ステージにある企業にとっては嬉しい制度ですので、このような節税方法があることも知った上で設定することが大切です。
融資や出資を受けるための信用力
資本金額は、対外的な信用を得る上で一定の効果を発揮します。上記2つのポイントのように明確な基準額があるわけではなく、「○○万円以上だと大きな信頼、○○万円未満だと信頼を得にくい」といった区分はできません。
そのため業界や取引相手など、状況によってはあまり重視する必要がないことも考えられます。
ただ、幅広い企業と取引をしたい、融資や出資による資金調達を成功させたい、という場合には大きな資本金額とした方が無難です。資本金額の大きさが相手方に安心感を与える一つの材料となるからです。
特に他社と大きな取引をする場合、開業したすぐの企業でかつ資本金額が非常に低額だと、相手方企業が不安を感じることでしょう。取引を始めたものの弁済を受けられず、そのまま倒産をするリスクがあるからです。しかも、倒産をしたとしても資本金などのたくわえがあればそこから債権回収をできるのですが、資本金額が少ないと破産手続における配当にも期待ができません。
また、融資においても金融機関によっては資本金額の大きさが指標となり、審査に直接影響を及ぼすこともあります。
よって、「信用力」と言ってしまうと抽象的で判断が難しいですが、実際に創業後利用することになる制度や機関、取引先の事情などを調査・検討し、具体的な金額設定をしていくことが大切なのです。
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資格者紹介
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父親が会社経営をしていて、子どもの頃から将来は自分で起業し、自分の思うような人生を自分で切り拓いて生きていきたい、と考えていました。
父親の背中をずっと見てきましたので、経営者の思いや悩み、苦労などにも傍で触れることができました。
そして大学時代に出会った税理士という資格は、中小企業の最も身近なパートナーであることに非常に魅力を感じ、税理士を目指そうと決意しました。
大学卒業後、仕事をしながらの受験生活は長丁場となりましたが、無事に税理士試験に合格。
実際に自分が税理士として仕事をしていて感じることは、税理士の仕事はとてもやり甲斐があり、責任も重大であるということです。
ただし、税理士の使命は「正しい経理処理や税金計算をして、間違いのない申告書を作る」だけではありません。
専門家としての事務的なサービスにとどまらず、経営者が誰にも言えないような悩みを抱えた時に、真っ先に弊所のことを思い出して頂き、気兼ねなくご相談できるように心掛けています。
そして、経営者の思いに本気で応え、共に問題解決をしていきます。
そのため、経営者とのコミュニケーションを積み重ねにより、本物の信頼関係を構築することは重要です。
さらに「スピード対応」を常に心掛け、経営者が事業に専念できるよう、万全のサポートをさせて頂きます。
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- 所属団体
- 東京税理士会
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- 著書
- あさ出版「中小企業の資金調達方法がわかる本」(共著)
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- 経歴
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大学を卒業後、3年間の受験専念期間を経て、一般企業に営業職として入社。
その後、会計事務所に入所し、キャリアを積む。
2011年、税理士試験合格。翌2012年、税理士登録。
「より主体的に、責任を持って業務に取り組んでいきたい」と考え、2013年独立。
森下税理士事務所を開設する。
事務所概要
Office Overview