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年末調整と確定申告の違いとは?手続の概要や対象者について比較

「年末調整」と「確定申告」、どちらも税に関わる言葉で、所得税を納めるために必要な手続です。しかしその手続の対象となる人や手続の内容、時期などにも違いがあります。ここで両者の違いを整理していきましょう。

 

 

年末調整とは

まずは「年末調整」についてです。
年末調整は、年間を通して源泉徴収してきた額と実際に納めるべき所得税の額を比較し、その差分を調整する手続です。
源泉徴収は、住民税や社会保険料などと同じように毎月の給与から天引きする形で徴収されています。徴収額は概算で算出された所得税に基づいているため、最終的に正しい税額と一致するとは限りません。そのため本来の納税額よりも多く取り過ぎてしまうこともあれば、本来の納税額に満たないこともあります。

 

そこで年末調整では、多く取り過ぎていたケースにはその分を還付、税額に満たなかったケースでは追加で徴収を行います。

 

年末調整の対象者

年末調整の対象となるのは会社で勤めている方々です。
そのため個人事業主など、会社から給与としてお金を受け取っていない方は年末調整を行いません。

 

そして会社に勤めている方であれば、正社員であるなど肩書に関係なく年末調整の対象となります。パートやアルバイトなどの形で雇用をされていても、源泉徴収は行われるからです。
ただし1年を通して働いている者であっても、月々の給与が88,000円以下であって「扶養控除等(異動)申告書」を提出している場合には源泉徴収は行われません。逆に年間の給与が103万円以下だからといって年末調整が不要になるわけではありません。月あたりの給与額に着目する必要があります。

 

また、源泉徴収を会社が行うように、年末調整に関しても会社が手続を進めることになります。従業員それぞれが自分で税額を計算し、還付額や追加徴収額を会社に提示する必要はありません。

 

確定申告とは

「確定申告」は、1年間の所得を計算し、その内容を税務署に自分で申告する手続のことを指します。

 

確定申告の対象者は、年に1度、11日から1231日までの所得を合計し、経費や控除額を計算。納めるべき所得税の額を自己申告しなければなりません。
手続を行う時期は「税額計算の対象となる年の翌216日から315日」です。

 

この期間内に計算を済ませ、必要書類を作成し、税務署に提出しなければなりません。
払い過ぎた税金がある場合には還付申告も行うことになりますが、こちらの手続は申告可能な日から5年以内までと比較的緩く期間が設定されています。

 

なお確定申告の方法はさらに①青色申告と②白色申告の2パターンに分かれます。

青色申告をするには別途事前の手続が必要ですし、税務の処理も複雑になります。その反面、控除額で優遇されるなどの恩恵も得ることができます。白色申告の場合には特別な手続を行う必要がありませんし、処理も簡単です。ただし同じ条件下での青色申告と比べると納税額に差が出やすいです。

 

確定申告の対象者

確定申告の対象者として毎年手続を行うことになるのは、フリーランスや自営業を営んでいる「個人事業主」です。ビジネスとして取引を行っていなくても、不動産収入あるいは株取引による所得がある方も対象となります。その他、一時所得がある方、山林所得がある方、退職所得がある方など、一般的なサラリーマンを除いて多くの方に確定申告の義務が課されます。

 

ただ、サラリーマンの方でも確定申告の対象となることがありますので要注意です。
例えば「給与収入が年間で2,000万円を超えている方」「複数の会社から給与を受けている方」「医療費控除、雑損控除などの適用を受けている方」「住宅ローン控除の適用を始める方」などです。
従業員だから必要ないと考えることのないよう留意しましょう。

 

年末調整と確定申告との違い

年末調整と確定申告はいずれも「所得税を納めるために必要な手続」という点で共通しています。

 

しかし、相違点も多くあります。

 

違いの1つに“手続を行う主体”が挙げられます。
年末調整は会社が行います。従業員も会社の求めに応じて必要な情報を提供するなど、一定の協力は行うことになりますが、従業員個人が税額の計算などを行う必要はありません。毎月源泉徴収として天引きされていますし、年間を通しても各従業員は所得税についてあまり考えることなくその処理を済ませられます。
これに対して確定申告は申告者が自ら行うのが基本です。1年間の所得や経費、控除などを自分で計算しなければならず、事業所得がある場合などには日々会計処理を行って状況を把握しておく必要があります。

 

次に、“手続の対象者”の違いです。
年末調整は従業員、確定申告はそれ以外の個人事業主や不動産収入を得ている方などが対象です。上述の通り従業員であっても確定申告を要するケースはありますが、基本的にはこのような違いがあると説明できます。

 

“手続の時期”も違います。
年末調整は年間の所得額が確定できる年末に実施されます。通常、10月から11月から始まり、12月に還付・追加徴収などを行います。これに対して確定申告は翌2月から3月に行います。

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資格者紹介

Staff

森下敦史税理士
税理士 森下 敦史 もりした あつし

父親が会社経営をしていて、子どもの頃から将来は自分で起業し、自分の思うような人生を自分で切り拓いて生きていきたい、と考えていました。

父親の背中をずっと見てきましたので、経営者の思いや悩み、苦労などにも傍で触れることができました。

そして大学時代に出会った税理士という資格は、中小企業の最も身近なパートナーであることに非常に魅力を感じ、税理士を目指そうと決意しました。
大学卒業後、仕事をしながらの受験生活は長丁場となりましたが、無事に税理士試験に合格。

実際に自分が税理士として仕事をしていて感じることは、税理士の仕事はとてもやり甲斐があり、責任も重大であるということです。

ただし、税理士の使命は「正しい経理処理や税金計算をして、間違いのない申告書を作る」だけではありません。

専門家としての事務的なサービスにとどまらず、経営者が誰にも言えないような悩みを抱えた時に、真っ先に弊所のことを思い出して頂き、気兼ねなくご相談できるように心掛けています。
そして、経営者の思いに本気で応え、共に問題解決をしていきます。

そのため、経営者とのコミュニケーションを積み重ねにより、本物の信頼関係を構築することは重要です。
さらに「スピード対応」を常に心掛け、経営者が事業に専念できるよう、万全のサポートをさせて頂きます。

  • 所属団体
    東京税理士会
  • 著書
    あさ出版「中小企業の資金調達方法がわかる本」(共著)
  • 経歴

    大学を卒業後、3年間の受験専念期間を経て、一般企業に営業職として入社。

    その後、会計事務所に入所し、キャリアを積む。

    2011年、税理士試験合格。翌2012年、税理士登録。

    「より主体的に、責任を持って業務に取り組んでいきたい」と考え、2013年独立。

    森下税理士事務所を開設する。

事務所概要

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事務所名 森下敦史税理士事務所
代表者 森下敦史(もりした あつし) [ 税理士番号:121051 ]
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