公正証書遺言の準備完全ガイド|必要書類から費用相場までを詳しく解説
目次
公正証書遺言は、遺言書の原本を公証役場で20年間保管し、法的な有効性も確保できる遺言書の形式です。
作成には複数の書類準備と手数料が必要となりますが、トラブルを未然に防ぐ確実な方法として注目されています。
本記事では、公正証書遺言を作成する際に必要となる費用の内訳と、手続きに必要な書類について、具体的な金額や入手方法を含めて詳しく解説します。
公証役場で遺言内容を管理する公正証書遺言とは
遺言書を作成する方法には大きく分けて3つの形式があります。
最も一般的に知られているのが、自分で全文を手書きする自筆証書遺言です。
実務では、ほとんど活用されていませんが、遺言の内容を秘密にしたまま有効性を証明できる秘密証書遺言があります。
そして、公証人の立会いの下で作成し、法的な有効性が確保されるのが公正証書遺言です。
公正証書遺言の場合、遺言書の原本は公証役場で20年間にわたり保管されます。
公正証書遺言の作成手続きに必要となる書類
公正証書遺言は全国の公証役場で作成できます。
ただし、外出が困難な場合の公証人の出張対応は、在住の都道府県内の公証役場に確認が必要です。
公正証書遺言の作成には以下の書類が必要になります。
必要書類 | 入手方法・備考 |
---|---|
印鑑登録証明書(3ヶ月以内) | 市区町村役場窓口(未登録の場合は運転免許証やパスポート) |
遺言者の戸籍謄本 | 市区町村役場窓口 |
相続人との続柄がわかる戸籍謄本 | 市区町村役場窓口 |
相続人以外への譲渡時の住民票写し | 市区町村役場窓口 |
不動産登記事項証明書(登記簿謄本) | 法務局 |
固定資産税関連書類 | 市区町村役場から郵送または窓口発行 |
預貯金通帳のコピー | - |
証人・遺言執行者などの情報 | 名前・住所・生年月日・職業を記載 |
作成当日は遺言者の実印(未登録の場合は認印)と証人の認印が必要です。
なお、必要書類は公証役場によって異なる場合があるため、事前に確認することをお勧めします。
公正証書遺言作成の費用相場
公正証書遺言作成の際の基本手数料は、1万円〜4万円程度です。
ただし、この金額には、必要書類の取得費用や専門家への依頼費用は含まれていません。
公正証書作成手数料の詳細と算出方法
公正証書遺言の作成手数料は、法律で定められており、全国の公証役場で同じです。
手数料の金額は、遺言書に記載される財産価格によって変動します。
財産の合計金額 | 基本手数料 |
---|---|
100万円以下 | 5,000円 |
100万円超~200万円 | 7,000円 |
200万円超~500万円 | 11,000円 |
500万円超~1,000万円 | 17,000円 |
1,000万円超~3,000万円 | 23,000円 |
3,000万円超~5,000万円 | 29,000円 |
5,000万円超~1億円 | 43,000円 |
1億円超~3億円 | 5,000万円ごとに13,000円加算 |
3億円超~10億円 | 5,000万円ごとに11,000円加算 |
10億円超 | 5,000万円ごとに8,000円加算 |
手数料の計算方法は次のとおりです。
相続人それぞれが受け取る財産額を計算し、各財産額に応じた基本手数料を合計します。
さらに、財産総額が1億円以下の場合は11,000円を加算し、最後に、遺言書の枚数に応じて3,000円〜5,000円程度の謄本手数料を追加します。
必要書類の取得費用
公正証書遺言の作成には各種証明書類が必要となり、書類の取得費用は合計で1,000円〜5,000円ほどです。
証明書類の種類 | 1通あたりの費用 |
---|---|
戸籍謄本 | 450円 |
印鑑証明書 | 300円 |
住民票 | 300円 |
不動産評価証明書 | 300円(物件ごと) |
不動産登記事項証明書 | 600円(物件ごと) |
公証人の出張対応にかかる費用
体調不良などの理由で、公証役場への来訪が困難な場合、公証人が自宅や病院へ出張することが可能です。
出張対応を依頼する場合は、以下の費用が発生します。
費用項目 | 金額 |
---|---|
基本手数料の加算 | 1.5倍を加算 |
公証人の日当 | 全日:20,000円 |
交通費 | 実費 |
なお、通常通り公証役場で遺言書を作成する場合は、これらの追加費用は発生しません。
立ち会う証人に必要な費用
公正証書遺言の作成には2名の証人の立会いが必要です。
証人を司法書士などの専門家に依頼する場合、1名あたり7,000円〜15,000円程度の日当が発生します。
ただし、家族や知人に証人を依頼する場合は、この費用を抑えることができます。
専門家への相談・依頼費用
公正証書遺言の作成には、弁護士、司法書士、行政書士などの専門家に相談・依頼することが可能です。
専門家への依頼費用は、扱う財産の規模や遺言内容の複雑さによって大きく変動します。
また、証人の手配や必要書類の収集代行など、付随するサービスの内容によっても費用は増減します。
一般的な相場は8万円〜20万円程度です。
まとめ
公正証書遺言は、公証人の立会いのもと作成される法的効力の高い遺言書です。
作成費用は、基本手数料1万円〜4万円に加え、必要書類の取得費用や専門家への報酬など、合計で10万円〜25万円程度が必要となります。
ただし、公証人の出張対応や専門家への依頼内容によって費用は変動します。
遺言の内容や作成の仕方に不安がある場合は、弁護士や司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。
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資格者紹介
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父親が会社経営をしていて、子どもの頃から将来は自分で起業し、自分の思うような人生を自分で切り拓いて生きていきたい、と考えていました。
父親の背中をずっと見てきましたので、経営者の思いや悩み、苦労などにも傍で触れることができました。
そして大学時代に出会った税理士という資格は、中小企業の最も身近なパートナーであることに非常に魅力を感じ、税理士を目指そうと決意しました。
大学卒業後、仕事をしながらの受験生活は長丁場となりましたが、無事に税理士試験に合格。
実際に自分が税理士として仕事をしていて感じることは、税理士の仕事はとてもやり甲斐があり、責任も重大であるということです。
ただし、税理士の使命は「正しい経理処理や税金計算をして、間違いのない申告書を作る」だけではありません。
専門家としての事務的なサービスにとどまらず、経営者が誰にも言えないような悩みを抱えた時に、真っ先に弊所のことを思い出して頂き、気兼ねなくご相談できるように心掛けています。
そして、経営者の思いに本気で応え、共に問題解決をしていきます。
そのため、経営者とのコミュニケーションを積み重ねにより、本物の信頼関係を構築することは重要です。
さらに「スピード対応」を常に心掛け、経営者が事業に専念できるよう、万全のサポートをさせて頂きます。
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- 所属団体
- 東京税理士会
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- 著書
- あさ出版「中小企業の資金調達方法がわかる本」(共著)
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- 経歴
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大学を卒業後、3年間の受験専念期間を経て、一般企業に営業職として入社。
その後、会計事務所に入所し、キャリアを積む。
2011年、税理士試験合格。翌2012年、税理士登録。
「より主体的に、責任を持って業務に取り組んでいきたい」と考え、2013年独立。
森下税理士事務所を開設する。
事務所概要
Office Overview