株式会社と合同会社の違いとは?社員の立場や適用されるルールなどポイントを解説
会社の形態として最もメジャーなのが「株式会社」です。これに対し持分会社と呼ばれるタイプの会社もあり、その中で設立数も多いのが「合同会社」です。
両社は、いずれも社員が間接有限責任しか負わない、会社債権者にとって担保となる財産が出資財産に限る、という点で共通しています。しかし根本の性質は異なっており、適用されるルールにも多くの違いがあります。
この記事で、これら株式会社と合同会社の違いを整理していきます。
社員の立場が違う
まず、社員の立場が株式会社と合同会社とでは大きく違っています。
これは「持分」に対する考え方の違いに基づきます(社員の持分とは、社員が会社財産に対し有する分け前を意味する)。
株式会社では「持分複数主義」が採られており、1人の社員でも複数の持分を持つことが可能です。細分化された割合的単位となっており、出資一口ごとに1つの持分を持つことが認められています。各持分の内容は均一です。
他方、合同会社(合資会社・合名会社も同様)では出資の大きさ問わず持分は各社員が1つずつ持ちます。これを「持分単一主義」と呼びます。各持分の内容は出資の価額に応じて異なります。
会社の所有と経営の在り方が違う
「所有と経営の分離」という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。これは株式会社の経営と社員である株主の関係性を表現したものです。株式会社の場合、社員と従業員は常に一致するわけではなく、本来的には株主を指して社員と呼びます。そして社員だからといって経営に携わるわけではありません。投資家などが社員となって出資を行い、配当などで利益を得、経営はその道のプロである取締役に任せるというのが株式会社における基本的なスタイルです。
つまり会社を所有するのが社員、経営をするのが取締役、といった形で分離するのです。
そして制度的分離を実現するため、会社法第326条第1項で以下のように規定し、すべての株式会社に「株主総会」「取締役」の設置を求めています。
株式会社には、一人又は二人以上の取締役を置かなければならない。
引用:e-Gov法令検索 会社法(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=417AC0000000086)
これに対し合同会社は原則として会社の所有と経営は一致します。同法第590条第1項でも以下のように定めています。
社員は、定款に別段の定めがある場合を除き、持分会社の業務を執行する。
持分会社は社員相互の人的信頼関係を基礎とします。株式会社に比べると少人数での運営が想定されている会社形態であり、社員は経営に関心があるという前提に基づいて活動が行われます。その観点から、社員の経営への参加を同条項で保障しているのです。
決定機関に違いがある
「会社の所有と経営の分離」に関連して、決定機関の違いも整理していきましょう。
基本的事項に関する決定機関ですが、株式会社では「株主総会」です。同法第295条第1項にて以下の規定が置かれています。
株主総会は、この法律に規定する事項及び株式会社の組織、運営、管理その他株式会社に関する一切の事項について決議をすることができる。
取締役会非設置会社であれば株主総会ですべての事項を決議できます。そのため社員である株主も、株主総会の決議を通して経営に関与することは可能です。ただ、同条第2項では取締役会設置会社の場合、株主総会で決議できることに制限がかかります。
前項の規定にかかわらず、取締役会設置会社においては、株主総会は、この法律に規定する事項及び定款で定めた事項に限り、決議をすることができる。
ある程度の規模を適正に運営していくためには取締役会の設置が重要であり、このときの所有と経営の分離を確立、経営の合理化を図るという狙いがあります。
他方、合同会社では、総社員の過半数をもって業務決定するのが原則となっています(第590条第2項)。
社員が二人以上ある場合には、持分会社の業務は、定款に別段の定めがある場合を除き、社員の過半数をもって決定する。
また、会社の常務であれば各社員単独で決定することができるとも規定されています。業務の執行に関する決定も同様です。
代表機関が違う
株式会社では、取締役または代表取締役が業務執行および代表機関と法定されています(349条第1項)。
取締役は、株式会社を代表する。ただし、他に代表取締役その他株式会社を代表する者を定めた場合は、この限りでない。
他方、合同会社では各社員が代表となります(第599条第1項)。
業務を執行する社員は、持分会社を代表する。ただし、他に持分会社を代表する社員その他持分会社を代表する者を定めた場合は、この限りでない。
監査体制が違う
株式会社では、株主にも監査権限は認められていますが、その役割は主に監査役が担います。
株主に関しては、一定の場合に取締役に対する行為の差止め請求ができると定められています。取締役の違法行為を事前に防止する手段を認めているのです。これにより会社と社員の利益を保護するのが狙いです。
なお、事後の株主救済措置として、株主代表訴訟も用意されています。
監査役に関しては、「いつでも、取締役等や支配人、使用人に対して事業の報告を求めることができる」など、様々な権限が会社法上認められています。こうした監査役制度は、取締役同士のなれ合いから生ずる危険を防止するために設けられています。取締役会を設けたところで同じ仲間内での監督に実効性が期待できないケースがあること、経営に対する意識があまりない株主も多いことから、業務執行と独立した地位にある監査役を置くことができるとしているのです。株式会社であるからといって常に設置が必要になるわけではありませんが、機関の設置の仕方によっては配置が義務付けられるケースもあります。
さらに、監査役会の設置が義務付けられることもあります。これは監査役で構成される合議制の機関のことです。監査役個人ではなく集合体として機能させることで、経営陣に対する牽制を強める狙いがあります。
これに対し合同会社等では、やはり各社員が監査の役割も担います。会社法第592条第1項では、持分会社の業務・財産状況に対する調査権限を認めています。
業務を執行する社員を定款で定めた場合には、各社員は、持分会社の業務を執行する権利を有しないときであっても、その業務及び財産の状況を調査することができる。
株式会社に比べて合同会社の社員はその役割が大きく、カバーすべき任務の幅が広いということがわかります。株式会社で言う株主・取締役・監査役を包含しているかのような権限が与えられています。
ただ、株式を公開している株式会社などに比べると規模が小さい会社が多いため、株式会社の経営者に比べて常に仕事量が多くなるというわけでもありません。
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資格者紹介
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父親が会社経営をしていて、子どもの頃から将来は自分で起業し、自分の思うような人生を自分で切り拓いて生きていきたい、と考えていました。
父親の背中をずっと見てきましたので、経営者の思いや悩み、苦労などにも傍で触れることができました。
そして大学時代に出会った税理士という資格は、中小企業の最も身近なパートナーであることに非常に魅力を感じ、税理士を目指そうと決意しました。
大学卒業後、仕事をしながらの受験生活は長丁場となりましたが、無事に税理士試験に合格。
実際に自分が税理士として仕事をしていて感じることは、税理士の仕事はとてもやり甲斐があり、責任も重大であるということです。
ただし、税理士の使命は「正しい経理処理や税金計算をして、間違いのない申告書を作る」だけではありません。
専門家としての事務的なサービスにとどまらず、経営者が誰にも言えないような悩みを抱えた時に、真っ先に弊所のことを思い出して頂き、気兼ねなくご相談できるように心掛けています。
そして、経営者の思いに本気で応え、共に問題解決をしていきます。
そのため、経営者とのコミュニケーションを積み重ねにより、本物の信頼関係を構築することは重要です。
さらに「スピード対応」を常に心掛け、経営者が事業に専念できるよう、万全のサポートをさせて頂きます。
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- 所属団体
- 東京税理士会
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- 著書
- あさ出版「中小企業の資金調達方法がわかる本」(共著)
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- 経歴
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大学を卒業後、3年間の受験専念期間を経て、一般企業に営業職として入社。
その後、会計事務所に入所し、キャリアを積む。
2011年、税理士試験合格。翌2012年、税理士登録。
「より主体的に、責任を持って業務に取り組んでいきたい」と考え、2013年独立。
森下税理士事務所を開設する。
事務所概要
Office Overview