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成年後見制度を行う際の費用とは?制度の仕組みと費用負担のポイント

 

成年後見制度は、高齢者や障がいのある方が、自身で財産管理や契約を行うことが難しい場合に、後見人と呼ばれる支援者を選任して適切な判断や手続きを代行する制度です。

しかし、制度を利用するには後見人への報酬や裁判所への申立費用など、一定の費用が必要となります。

本記事では、成年後見制度の費用の内訳や負担のポイント、利用する際の注意点について詳しく解説します。

成年後見制度とは?

成年後見制度とは、認知症などにより判断能力が十分ではない方の財産や権利を保護するための制度で、後見人と呼ばれる支援者が本人に代わり、財産管理や契約手続きなどを行います。

制度の利用には家庭裁判所への申立てが必要であり、裁判所が選任した後見人が預貯金の管理や定期的な支払いなどの財産管理、介護施設への入所手続きや病院での入院治療の手続きの代行など身上の監護を行います。

また、成年後見制度は以下の2種類に分かれています。

 

  • 任意後見制度
  • 法定後見制度

 

任意後見制度は本人が判断能力を失う前に、本人が選んだひとを後見人として事前に契約を結ぶ契約です。

法定後見制度は本人の判断能力がすでに低下している場合、家庭裁判所が後見人を選ぶ制度で、本人の判断能力の程度に応じて「後見」「保佐」「補助」の3類型があります。

利用の流れ

ここからは、主に法定後見制度について説明します。

成年後見制度を利用するには、次の流れで進行します。

 

  1. 家庭裁判所への申立:申立人は親族や市区町村長など
  2. 審理と後見人の選任:家庭裁判所が適切な後見人を決定
  3. 後見の開始:選任された後見人が財産管理などを行う
  4. 定期的な報告義務:後見人は家庭裁判所へ財産管理状況を報告

成年後見制度を行う際の費用内訳

成年後見制度を行う際の費用は、大きく2つに分けることができます。

 

  1. 申立費用(裁判所への手続き費用)
  2. 後見人への報酬

 

この他に必要に応じて専門家への依頼費用が発生します。

1.申立費用

成年後見制度を利用するためには、家庭裁判所へ申立てを行う必要があります。

その際に発生する主な費用は以下のとおりです。

 

  • 申立手数料(収入印紙):800
  • 登記手数料(収入印紙):2,600
  • 連絡用の切手:3,0004,000円程度(裁判所による)
  • 診断書:2,0001万円(医療機関により異なる)
  • 鑑定料:510万円(必要に応じて)
  • 住民票や戸籍謄本の取得手数料:500円~

 

本人の判断能力の程度を医学的に確認するため、必要に応じて医師による鑑定を行います。

鑑定料はそれぞれの事情により異なりますが、おおむね10万円以下が相場です。

2.後見人への報酬

後見人への報酬は家庭裁判所の判断によって決定されますが、報酬額の基準は法律で定められていないため、裁判官が後見業務の内容や管理する財産の状況などを考慮し、適切な金額を決定します。

専門家が成年後見人に選任された場合、通常の後見事務を行った場合の基本報酬の目安は月額2万円です。

ただし、財産の管理額が多い場合は管理業務が複雑化し、対応が難しくなる場合が多いので、被後見人の財産額に応じて次のように変化します。

 

  • 財産額が1,0005,000万円:34万円
  • 財産額が5,000万円以上:56万円

 

また、後見業務として不動産の売却を代行したり、遺産分割協議への参加を代行したりといった特別困難な事情があった場合には、付加報酬として基本報酬額の50%以内で相当額の報酬を支払います。

専門家への依頼費用(必要に応じて)

申立手続きをスムーズに進めるために、弁護士や司法書士に依頼するケースもあります。

その際の費用相場は、司法書士に依頼した場合は10万円程度、弁護士に依頼した場合は20万円程度と考えられます。

費用負担のポイントと注意点

最後に、費用負担のポイントと注意点について解説します。

成年後見制度の費用は、申立費用については原則として申立人が負担しますが、後見人の報酬などその他の費用については被後見人の財産から支払われます。

また、成年後見制度は一度開始すると本人が亡くなるまで継続するケースが多く、毎月の後見人報酬が発生する場合があるので、長期的な資金計画が必要です。

被後見人に財産がほとんどない場合は、市区町村が負担する「成年後見支援事業」を利用できる可能性があるので、検討してみることも重要です。

まとめ

成年後見制度について費用や負担のポイント、利用する際の注意点について解説しました。

成年後見制度を利用する際には、申立費用や後見人報酬など、さまざまな費用が発生しますが、自治体の支援制度を活用することで、負担を軽減できる可能性があります。

制度の特性を理解した上で詳しく知りたい場合は、税理士など専門家への相談も検討してみてはいかがでしょうか。

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資格者紹介

Staff

森下敦史税理士
税理士 森下 敦史 もりした あつし

父親が会社経営をしていて、子どもの頃から将来は自分で起業し、自分の思うような人生を自分で切り拓いて生きていきたい、と考えていました。

父親の背中をずっと見てきましたので、経営者の思いや悩み、苦労などにも傍で触れることができました。

そして大学時代に出会った税理士という資格は、中小企業の最も身近なパートナーであることに非常に魅力を感じ、税理士を目指そうと決意しました。
大学卒業後、仕事をしながらの受験生活は長丁場となりましたが、無事に税理士試験に合格。

実際に自分が税理士として仕事をしていて感じることは、税理士の仕事はとてもやり甲斐があり、責任も重大であるということです。

ただし、税理士の使命は「正しい経理処理や税金計算をして、間違いのない申告書を作る」だけではありません。

専門家としての事務的なサービスにとどまらず、経営者が誰にも言えないような悩みを抱えた時に、真っ先に弊所のことを思い出して頂き、気兼ねなくご相談できるように心掛けています。
そして、経営者の思いに本気で応え、共に問題解決をしていきます。

そのため、経営者とのコミュニケーションを積み重ねにより、本物の信頼関係を構築することは重要です。
さらに「スピード対応」を常に心掛け、経営者が事業に専念できるよう、万全のサポートをさせて頂きます。

  • 所属団体
    東京税理士会
  • 著書
    あさ出版「中小企業の資金調達方法がわかる本」(共著)
  • 経歴

    大学を卒業後、3年間の受験専念期間を経て、一般企業に営業職として入社。

    その後、会計事務所に入所し、キャリアを積む。

    2011年、税理士試験合格。翌2012年、税理士登録。

    「より主体的に、責任を持って業務に取り組んでいきたい」と考え、2013年独立。

    森下税理士事務所を開設する。

事務所概要

Office Overview

事務所名 森下敦史税理士事務所
代表者 森下敦史(もりした あつし) [ 税理士番号:121051 ]
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