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相続の対象になる基本的な財産とその内容を解説!

相続の対象になるものにはどのような財産が含まれるのかご存知でしょうか。一つひとつ挙げていくときりがありませんが、ここでは近年の相続税の課税状況(国税庁:https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/sozoku2019/pdf/05_kazeijokyo.pdf)を参考に、特に関係する件数の多い財産について解説していきます。

 

相続されるケースの多い財産

相続財産の価額に着目した場合、主要な財産は「土地」「家屋」「現金・預貯金」「有価証券」などに分けられます。

しかし件数で見るとこれら以外にも様々な財産が相続に関わっていることが分かります。

相続の対象になる財産と、それに対応する被相続人の数を表したのが下表です(2019年分)。

 

相続の対象になる財産被相続人の数
現金・預貯金約11万5千人
家屋・構築物約9万7千人
土地宅地約10万人
約2万3千人
約1万9千人
山林約1万8千人
立木約3千人
有価証券株式および出資約7万7千人
公債および社債約1万2千人
投資・貸付信託受益証券約3万5千人
事業用財産機械器具、農工具等約8千人
商品、製品、原材料など約千人
売掛金約2千人
家庭用財産約6万5千人
生命保険金約3万4千人
退職手当金約5千人
債務約10万3千人

 

やはり宅地や家屋、現金・預貯金、有価証券などは件数が多いですが、他の財産に関しても相当数相続が行われていることが見てとれます。

 

土地について

土地には「宅地」「畑」「田」「山林」などが含まれます。さらにこれらに付随して権利が相続の対象になることもあります。

 

借地権も相続の対象

宅地の借地権に関しても相続の対象です。

借地権は実際に手に取れるモノとは異なり、権利です。しかし財産的な価値を持つことから、特に課税上は重要な存在となります。実際、借地権は相続税および贈与税の課税対象です。

借地権を相続した場合、取得するのに地主からの許可は不要とされ、別途借地契約を締結する必要はありません。ただ、地主に承諾料や更新料を支払うケースがありますので要注意です。

 

なお、借地権にはさらに以下のような種類があります。

 

  • 借地権
  • 定期借地権
  • 事業用定期借地権等
  • 建物譲渡特約付借地権
  • 一時使用目的の借地権

 

耕作権も相続の対象

畑や田に関連して、「耕作権」が相続対象になるということも知っておきましょう。

 

耕作権とは、農地の所有者に対し小作料を支払い、その土地を耕作、または採草放牧地として養畜する権利をいいます。

さらに耕作権は「小作権」と「永小作権」に分類されます。一般的なのは賃借権としての性質を有する小作権です。永小作権は物権としての性質を有し、より自由な運用ができるようになる権利なのですがあまり利用されていません。いずれにしろ相続の対象になる点変わりはありません。

 

山林も相続の対象

山林を相続することもありますが、この場合、扱いが難しいため注意が必要です。

市街地に近い山林などアクセスが良ければ活用の幅も広がりますが、山奥に放置され整備が行き届いていない山林だと管理に相当の負担がかかってしまいます。

活用にあたり大きな資金を要してしまう上、立地が悪かったり整備されていなかったりすると売却も難易度が高くなってしまうでしょう。

 

なお、土地などの不動産ではありませんが、山林を相続した場合には「立木」の財産的価値も得られます。木材として売却することで利益を生み出すこともできますが、やはり伐採や運搬に相当の費用がかかることには留意しなければなりません。

 

事業用財産について

事業用財産には、上に挙げた「機械器具」「農工具」「商品」「製品」「原材料」などの他、「じゅう器」や「備品」「半製品」「農産物」なども含まれます。

 

なお、半製品とは、プロセス途中の製品であり最終製品には至っていない状態のものをいいます。

例えば、ある工程を経て製品になることが想定されている軽油などは、その状態だと半製品です。

 

売掛金も相続の対象

「売掛金」も事業用の重要な財産です。

未だ現金化されていないものの、将来的に金銭の受け取りができる権利のことです。要は債権です。

売上を出したものの取引の相手方から実際の支払いはまだ受けていない段階で相続が開始された場合、被相続人が受けるはずであった売掛金も相続の対象となります。

 

なお、売掛金とは逆に「買掛金」というものもあります。

商品の仕入れなどをしたときの、未払金のことです。要は債務であり、買掛金がある場合には支払いの義務が生じます。

 

有価証券について

有価証券のうち、件数として最も多いのは株式および出資です。

 

次いで多いのは「投資・貸付信託受益証券」です。

受益証券は投資家の受益権を示す証書のことですので、「貸付信託受益証券」は信託財産の運用で得られた利益を受ける権利、これを表示した有価証券といえます。

 

そして「公債」および「社債」ですが、こちらは有価証券の中で大きな割合は占めていませんが、それでも1万件以上の相続が生じている財産です。

公債は、国や地方公共団体などが事業を行うときに、国民や企業から資金を借り入れるために発行するものです。

他方、社債は企業がする資金調達の手法です。投資家に対し発行する有価証券です。

いずれも相続の対象となる財産です。

 

債務等について

相続の対象になるのはプラスの財産だけではありません。

相続人にとってリスクとなる、マイナスの財産も同じように引き継ぐことになります。

もちろん、相続放棄や限定承認などの方法により対策は取れますが、そのためにもマイナスの財産がどれほど残っているのかを調査しなければなりません。

 

債務の額も様々ですが、件数だけでいうと土地や現金・預貯金と並びます。そのため借金や住宅ローンなどの有無および残債務額には要注意です。

 

税制上の注視すべき財産

純粋な相続財産とはいえませんが、「生命保険金」や「退職手当金」には相続税が課税されることがあるため要注意です。

みなし相続財産として一部課税の計算に含まれます。

 

また、課税の観点から同じく注意が必要なものとして、「相続時精算課税適用財産」「暦年課税分贈与財産」があります。

前者の相続時精算課税制度は、生前贈与に関して一定条件・一定限度の下課税が軽減されるというものです。20歳以上の子や孫に対し、60歳以上の父母・祖父母が生前贈与をするときに利用できます。ただし相続後は申告の手続きを要します。

後者に関して、贈与税には基礎控除として年間110万円まで利用できるためその範囲内なら課税はされません。しかし相続開始の前3年以内のものに関しては実質相続財産を渡したものと評価されるのです。そのため税制上は、考慮しなくてはならない財産なのです。

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資格者紹介

Staff

森下敦史税理士
税理士 森下 敦史 もりした あつし

父親が会社経営をしていて、子どもの頃から将来は自分で起業し、自分の思うような人生を自分で切り拓いて生きていきたい、と考えていました。

父親の背中をずっと見てきましたので、経営者の思いや悩み、苦労などにも傍で触れることができました。

そして大学時代に出会った税理士という資格は、中小企業の最も身近なパートナーであることに非常に魅力を感じ、税理士を目指そうと決意しました。
大学卒業後、仕事をしながらの受験生活は長丁場となりましたが、無事に税理士試験に合格。

実際に自分が税理士として仕事をしていて感じることは、税理士の仕事はとてもやり甲斐があり、責任も重大であるということです。

ただし、税理士の使命は「正しい経理処理や税金計算をして、間違いのない申告書を作る」だけではありません。

専門家としての事務的なサービスにとどまらず、経営者が誰にも言えないような悩みを抱えた時に、真っ先に弊所のことを思い出して頂き、気兼ねなくご相談できるように心掛けています。
そして、経営者の思いに本気で応え、共に問題解決をしていきます。

そのため、経営者とのコミュニケーションを積み重ねにより、本物の信頼関係を構築することは重要です。
さらに「スピード対応」を常に心掛け、経営者が事業に専念できるよう、万全のサポートをさせて頂きます。

  • 所属団体
    東京税理士会
  • 著書
    あさ出版「中小企業の資金調達方法がわかる本」(共著)
  • 経歴

    大学を卒業後、3年間の受験専念期間を経て、一般企業に営業職として入社。

    その後、会計事務所に入所し、キャリアを積む。

    2011年、税理士試験合格。翌2012年、税理士登録。

    「より主体的に、責任を持って業務に取り組んでいきたい」と考え、2013年独立。

    森下税理士事務所を開設する。

事務所概要

Office Overview

事務所名 森下敦史税理士事務所
代表者 森下敦史(もりした あつし) [ 税理士番号:121051 ]
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